2014年9月10日水曜日

寄稿者: ネオ
THOR :God of Thunder TPB第1巻レビュー!
雷神ソーと「神殺し」の壮絶な戦いが、今始まる!
DCコミックスの「New52」に対抗する形で発表されたマーベルのリブート計画「MARVEL NOW !」
それに際して創刊されたタイトルの中でも、アイズナー賞受賞・邦訳版発売で知られている「ホークアイ」誌に並んで好評な「ソー:ゴッド・オブ・サンダー」誌のレビューでございます。
さて、このタイトルは先に述べたようにマーベルNOW !タイトルの中でも指折りの評価を誇り、僕も大好きなコミックです。
基礎設定として最も特徴的なのは、過去・現在・未来のソーたちの物語が同時進行で進むという点にあります。

過去ソー:まだムジョルニア(雷を呼ぶ無敵のハンマー)を持つ資格がなく、代わりに斧を携えた若かりし日のソー
現在ソー:アベンジャーズの一員として地球のために戦う、我々に最も馴染みあるソー
未来ソー:荒廃したはるか未来において、最後のアスガルド神となり王座に座るソー
それにしても父親(オーディン)の姿そのまんまだな未来ソー
この三人のソーが交錯しながら進む物語、それがこの「ソー:ゴッド・オブ・サンダー」です

さて、ストーリーの主軸となるのは、見出しに書いた通り「神殺し(The God Butcher)」なる者の存在。
西暦893年、アイスランド西海岸にて。若きソーは霜の巨人に侵略されていた村を救い出し、歓迎パーティで飲みに飲みまくっておりました。
しかし突如として、村人の一人が「誰かが川の中に!」と叫びます。ソーが駆けつけると、そこには誰と分からぬ一人の男の生首。苦悶と驚愕の表情のまま固まっているその生首を見たソーは、村人にこう告げます。
「・・・この者は、人間ではない。神だ。」

場面は変わって、現在のソー。
今日も今日とて神として人助けに勤しむソーだが、ある日赴いた世界では、ソー以外のいわゆる「全能の神」のような存在は全く以て信じられていなかった。それに疑問を持ったソーは、上空へと飛び、その世界を守っているはずの神々が住んでいるであろう神殿へ向かう。
しかしそこで彼が見たものは・・・
争った形跡もなく、そこにいる全ての神々は死んでいた

さらに場面は変わり、もはや廃墟と化した未来世界のアスガルド王宮。
そこにいたのは、左目を眼帯で覆い、左手は義手と化し、ムジョルニアの他に剣も携え、謎の黒い獣の大群と孤独に戦う老いたソーであった。

果たして未来のアスガルドにおいて何が起こったのか?他のアスガルド神は?
また、過去と未来においてソーが目にした「神の死体」、それが意味するものとは?

・・・というところで第1話は終了します。
ここからさらに語られていくのは、ソーと「神殺し」本人の長年にわたる因縁であります。
よくよく調べてみると、なんと記録書だけで書庫がいくつか埋まるくらいに、行方不明ないし原因不明の死を遂げた神が大量に存在するということを知るソー。
その犯人は、若い頃に戦ったことのある「神殺し」だとすぐに察するソーであったが、いくら全宇宙を渡り歩いて調査しても、見つかるのはかつて名を馳せた偉大なる神々の亡骸ばかり。
そしてついに「神殺し」、ゴァと名乗る者のもとへ辿りついた現在時間のソー。
ゴァとソーの意外な因縁と、神々を殺して回るゴァの目的、そして未来世界のアスガルドに起こったこととは…

と、こんなミステリー風に話は進んでいきます。
過去・現在・未来のソーたちの物語が蜘蛛の巣のように複雑に絡み合いながら進み、徐々に「神殺し事件」の全貌が明らかになっていくストーリーは非常に引き込まれます。
アートからも神話的な絵画感が漂い、本当に神話の世界に入り込んだようなまさに「神の物語」という印象を受けます。
ソーのセリフというのは神ゆえに古式の言葉遣いであったり、特殊なフォントを使ったりしているのでもしかしたら読みづらいかもしれませんが、マーベルNOW !作品では間違いなくトップクラスのタイトルなので、絶対に読んで損はしません!

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