2015年3月21日土曜日

Meteor Men レビュー
Jeff Parker 
Sandy Jarrell 
Kevin Volo カラー
Oni Press 出版

"Do you think we're alone… in all this?"

流星雨の夜、少年の両親が遺した牧場に隕石が落ちて…
少し懐かしく、静かな余韻を残すジュブナイル。
 ※2015.3.22 「地味に好きなコマ」を数個追記しました。

こんにちは。共同投稿者の96 takewaofu と申します。
今回はMeteor Men の紹介をさせて頂きます。

本作のジュブナイルの雰囲気がとても好きなので、今回書かせて頂きました。
そのせいで趣味成分が強めとなっておりますが、お付き合い頂けますと幸いです。
(※画像はプレビューより、また携帯により撮影したもの等を使用しています。画質のばらつきなどご容赦下さい。
なお、もし問題があれば消去します)

※ジュブナイルとは…
大雑把に、ティーンエイジャーを対象とする小説の事。
なお、ここでは「少年向け冒険SF」のような意味合いでも使用しています。

~ あらすじ ~
主人公のアーデン・ベイラーは、落ち着いた雰囲気の16才の少年。



数年前に両親を自動車事故で亡くし、おじのフィリップ・ベイラーと2人暮らし。
ただ、おじは先生をしていることもあり、アーデンを気にかけてはいるものの忙しい。
早くに自立を迫られたせいか、アーデンは基本的にあまりしゃべらず物静か。
いつもみんなを盛り下げてしまう、と気にするような面も。

が、いざという時には素早く行動するなど、有能な少年であることを伺わせる。
(あとちょっとモテている気がする)
森に隕石が落ち、火災が広がるのを防ぐためにいち早く動く

夜、アーデンが両親から継いだ牧場で、学生たちがフィールドウォッチングをしている最中に
流星雨が降り注ぎ、1つの隕石が落下してくる。

森の消火に追われた一夜が明けると、おじの友人であるカムデン教授は、落ちた隕石の
調査とその影響に夢中になり、またマスコミが押し寄せるなど、
牧場の所有者であるアーデンをよそに、周囲の状況は目まぐるしく変わっていく。

調査に夢中になるカムデン教授、くぎを刺すおじ

そして流星雨の夜に姿を消した友人、ウィルトンはどこへ…

ガソリンスタンドを営む友人ウィルトン
 
テレビやラジオでも隕石のニュースが流れ、流星雨の夜、世界各地へ隕石が落ちて
大きな騒ぎになっている事を知らせる。

「(流星雨について)我々は、もう二度とこのような出来事には遭遇できないでしょう。」

「驚くべきことに、回収された隕石の内部はすべて空洞になっているとの事です。」…

ふと謎の呼び声が聞こえ、もしやウィルトンが…と、夜の森へ飛び出すアーデン。



※こちらには本来文字が入っています。

各地に現れ始めた謎の宇宙人の姿、頻発する奇妙な事件。
彼らは一体何者なのか。

おじのフィリップやカムデン教授、友人、マスコミ、警察、科学者。そしてFBI など、
宇宙人と、そして彼に関わったアーデンを巡って様々な思惑が交錯する。

果たしてアーデンの決断は…?

~ 感想 ~
「少年と宇宙人との出会い」という点からE・Tのようなストーリーが想像されますが、
少し違う方向へ、いい意味で裏切られました。
終盤にかけて一気に物語が動き、一体どうなるのかとハラハラしながら読みました。

レトロな雰囲気で、奇抜さや派手な展開は控え目ですが、日常や、セリフ外での
少年の心の動きなどが丁寧に描かれていると感じます。
また、予想はできていたはずがついショックを受ける場面も…。

主人公のアーデンについて、必要以上に喋り過ぎず、台詞よりも行動と絵で気持ちを
描写していくような感じで好感が持てます。
10代はあまり自分の気持ちをストレートに話さないイメージなので。
彼のこうした面が、作品全体の静かな印象につながっているのかもしれません。

序盤から中盤では、日常を交えてゆっくり、じわじわと話が展開していきます。
遠く考えていた出来事が実は日常を侵食しており、いつの間にか渦中にいて…といった風。
進行が巧みだと思いました。

若干ホラーのような雰囲気もあって好きなのですが、話があまり進まない箇所なので
人によっては退屈に感じるかもしれません。

また、もし不満があるとすれば終盤の展開がやや駆け足な点でしょうか。
個人的に、もう少しだけページが欲しい所でした。

読後には不思議な寂寥感や余韻が残り、色々と考えてしまいました。
好みは分かれるかもしれませんが、ジュブナイルものとして良かったと思います。

またSandy Jarrell のアートは、シンプルさも含めて、本作の雰囲気に良く合っていると
感じました。
特に、カバーや序盤での「車の屋根に乗って星空を見上げる少年の姿」は
このタイトルを象徴するものだと思います。

カバー全体図

引き気味の絵が多い印象ですが、大事な場面での細かな表情も良いです。
とある場面では、状況と相まって、線の少なさがより恐ろしく感じる事も…。

Kevin Volo のカラーについても、普段は落ち着いた色合いですが、緊張感のある場面では
彩度の高い赤、青、黄など、強い色が画面を支配し、目を引かれました。




~ 地味に好きなコマ ~
アーデンに伏せた事情を看破され、研究者の女性(マーガレット)が答えるところ。
決意のこもった回答で、またその笑顔がいいです。

※2015.3.22 下記2つの画像を追記しました。当初と印象が変わってしまうかも
          しれませんが、改めてこういう場面も大事と思いましたので、追記させて
         頂きます。失礼しました。
宇宙へ小トリップ
バーベキューサンドイッチもぐもぐ

なお、ペーパーバック(TPB)版について、少しだけ注意点を。
TPB版は、紙質の関係もあって、デジタル版比べて恐らく若干色が薄くなっています。
本を開くと、折り返しから一面の星→タイトルへ…という流れはとても素敵なのですが、
その点にだけお気を付け下さい。

Meteor Men (Amazonリンク)

2 件のコメント:

  1. 京都国際マンガミュージアムに「アメコミ映画完全ガイド2015ネクストヒーロー編」と映画「アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロンIMAX3D版」の入場者特典ポスターを寄贈したぜ!!、ミュージアム一階のえむナビに置いてあるアメコミ「シビルウォー」(日本語版)は俺が寄贈したものだ!!。すごいだろう?。後からanyとかいうクソ野郎が俺のコメントにいちゃもんをつけてくるかもしれませんが、無視してください。

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  2. 京都国際マンガミュージアムにゴーストライダー日本語版1~3巻(発行・小学館プロダクション)を寄贈したぜ!!、すごいだろう?。

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